報恩講料理
Houonkoh memorial services for the founder of the sect
400年以上前から伝わる
ハレの日ならではのおもてなし料理!
戦国時代、長享2(1488)年の「長享の一揆」を機に、加賀の国は門徒中心の自治国として、全国でも類を見ない「百姓の持ちたる国」が誕生しました。その歴史は織田信長によって滅ぼされるまで、約100年にわたって続きます。
400年以上を経た現在も、市内の寺院の多くは浄土真宗であり、開祖・親鸞聖人(しんらんしょうにん)の命日(旧暦11月28日)前後、その遺徳をしのんで営む「報恩講(ほうおんこう)」は、真宗を心のよりどころとする小松の人々にとって1年で最も大切な仏事といえます。親類縁者を招き、ともに念仏を唱え、僧の説教に耳を傾ける…その後、集った人々をもてなすために用意されるのが報恩講料理です。
報恩講に集まった人をもてなすために供される報恩講料理は、一汁三菜の精進料理を基本に、野菜の煮物や和え物を中心にとっておきの食材を丹精こめて料理し、鮮やかな朱塗りの膳に並べます。小松では親しみを込めて「ほんこさん」などと呼ばれ、小松の家庭料理にも大きな影響を与えています。
料理の内容は地域や家により多少違いますが、おおむね膳に並ぶのは、おひら(煮しめ)、中盛り(ゼンマイのからし和え)、つぼ(金時豆またササギ豆の甘煮)、じんだ(ひいた青豆のあえ物)、こじり(しいたけ・ニンジン・こんにゃく・豆腐・スス竹などの煮物)に、ごはんと小豆おつけ。さらに赤カブの漬け物など膳にのりきらない料理が、重箱や大鉢に盛って出されます。どの料理も器にあふれんばかりに盛りつけるのが報恩講の習わしです。それは小松の人々の親鸞聖人への深い敬愛とともに、大らかなもてなしの心を物語っています。
多い時には100人近くに振舞われ、近所の檀家は前日の早朝から集まって料理の準備を行います。手間暇かけた料理には、おもてなしと感謝の心が込められています。