今、里山に注目が集まっている。
里山とは集落や人里に接した山。そしてそのような環境で「人間の影響を受けて成立している生態系」を指すこともある。
小松市は、面積の約7割が里山地域。農作物・希少生物・木材・石材などの里山資源をはじめ、伝統を担う職人や技術者、九谷焼など独自の文化があり、すべてこの土地の誇り。
ここでは、これらを継承していくための施設や活動、訪れるべき里山スポットを紹介していく。
里で学び、山で遊ぶ、里山体験施設
日本海と霊峰白山に囲まれた水と緑の豊かな小松市は、その約7割が里山、奥山だ。
豊かな里山を生かした地域づくりに取り組む団体が連携して、地域資源の理解を深めることや魅力をより増やすこと、そしてそれを伝えることに尽力している。
訪れる人が実際に体験して「里山」を知る、いくつかの場所をご紹介。
2011年、138年の歴史を閉じた、かつての那谷小学校滝ヶ原分校と保育所跡を『里山自然学校 こまつ滝ヶ原」』として開校。ここでは里山ならではの自然と文化を学び、楽しめる。
珍しい生き物に出会える「トンボの楽園」や石橋群を巡るサイクリングや散策、地元食材を使った懐かしく心温まる里山料理も堪能。専門家による「里山体験交流塾」「SATOYAMAグローカル推進塾」「里山ツーリズム支援塾」など、自然の中での遊び方や暮らしの知恵なども学べる。
ここを拠点に地域が元気になること、そして、訪れた人々がゆったりとした時間が流れる里山に身を置いて自分を見つめ直す時間を持つことで心身ともに健康になってもらうことを目指している。
『里山自然学校 大杉みどりの里』は、大自然の中で野外活動や宿泊学習ができ、最大で200人が宿泊可能な施設も備えている。満天の星空の下で天体観測や雄大な自然に囲まれて過ごすキャンプ、四季折々の自然を体感することで、非日常のひとときが過ごせる場所。
春は登山や山野草観察、夏には渓流遊びやホタル観察、秋はハイキングや木工作、冬にはアルペンスキーやかまくら作りなど、季節の行事が目白押し。
美味しい料理と温泉、アウトドアなどで世代を超えて楽しめる『里山健康学校 せせらぎの郷』も訪れたい。ビュッフェ形式のレストランでは各界の著名人の監修による家庭料理や中華・ジビエ料理が味わえる。また、里山の自然の中で入浴できる大浴場や露天風呂、人工芝のグラウンドがあり、温泉や運動で健康になれる、そんな場所。
春から秋にかけて(4~11月)特に楽しめるのは、西俣キャンプ場と西俣自然教室。
蓮如山と鷹落山を望む山間に囲まれた大自然を感じられる場所は、とにかく気持ちいい。車の乗り入れが可能なオートキャンプ場や日帰り用のデイキャンプなどマルチなキャンプ場として利用できる。道具や施設も揃っているので、キャンプ初心者も安心。澄んだ空気と緑の中、夏は川遊びや蛍観察、春秋には山菜取りや栗拾いなど、自然散策の魅力が四季を通してたっぷり。
訪れるべき里山スポット
日本が世界に誇る日本庭園に、苔は欠かせない。小松市日用町にある『苔の里』は、透き通った清流、日用川と日用神社、古民家を中心とするとても美しい場所だ。日用町は、銘木「日用杉」の産地。地元の方が杉の苗を育てるために地面をきれいにしているうちに、自然に苔が一面に生えるようになった。山に囲まれたこの町は湿度が高く、苔の生育に適していた。この場所を訪れた国連大学の教授やドイツ市内の美術館の館長らは「世界に類を見ない宝」と高く評価したそう。地域交流や活動拠点を目的とした古民家も整備されており、国際会議の誘致のほか、見学者を案内するガイドの養成を進めている。
木場潟公園に澄んだ空気を吸いに行くのもいい。昭和57年に県営公園として開園した木場潟公園は、面積49.1ヘクタールの広さがあり、なんと東京ドーム10個分強。周辺の田園風景と調和するように整備され、多くの野鳥や水生植物が生息している。潟の周囲には4つの園地が整備され、1周6.4kmの園路がそれを結び、ウォーキングやジョギングをする市民のまさに憩いの場。カヌー競技のナショナルトレーニングセンターに指定されており、毎年のように国際大会も開催されているため「カヌーの聖地」としても高い知名度を誇る。2015年には天皇皇后両陛下ご臨席のもと「第66回全国植樹際いしかわ2015」が開催され、豊かな国土の基盤である森林・緑に対する国民的理解を深めた。
そして、これを記念して整備された木場潟公園と憩いの森を結ぶ全長12kmのウォーキングコースは、植樹祭メモリアルラインとして市民に親しまれている。小松ウオーキング協会と小松市ノルディックウォーク協会の協力により策定されたコースは、適度な起伏があり、木場潟や白山の景観、小松市の市街地や日本海も一望できるルートとなっている。
桜の名所としても知られる木場潟。春にはおよそ1300本の桜並木が続くなど、四季折々、様々な草花を愉しむことができる。
小松には、山だけでなく海の魅力も
四季を通じて様々な魚介類が水揚げされる港町、安宅。江戸時代から明治時代にかけては北前船の寄港地として海運業で栄え、往時を偲ばせる旧家や古い街並みが残っている。そんな町の中で最も海沿いにあり、海を一望しながら軽食やお茶を楽しめるのが『「安宅の関」こまつ勧進帳の里』にあるATAKA CAFE。テラス席からは、安宅の美しい海岸線が一望。ここに腰掛ければ、景色までもがご馳走に。こちらには土産品などを取り扱う「うみのえき安宅」もあるので、立ち寄ってみては。
この他にも、小松にしかない景色や体験ができる里山スポットが沢山ある。その魅力をこれから少しずつ紹介していく。
人々の「交流」を支える豊かな自然と歴史
里山とは「集落や人里に接した山」。そしてそのような環境で「人間の影響を受けて成立している生態系」を指すこともある。小松市は、面積の約7割が里山地域。農作物・希少生物・木材・石材などの里山資源をはじめ、伝統を担う職人や技術者、九谷焼など独自の文化があり、すべてこの土地の誇り。